第64回日本新生児成育医学会・学術集会

会長挨拶

第64回日本新生児成育医学会・学術集会 会長 茨  聡 鹿児島市立病院総合周産期母子医療センター長、新生児内科部長

 この度、第64回日本新生児成育医学会・学術集会を鹿児島でお世話させていただく運びとなりました。大変光栄なことと存じます。
 会期は、2019年11月27日(水)~29日(金)の3日間、鹿児島市の桜島が一望できるSHIROYAMA HOTEL Kagoshima(旧城山観光ホテル)にて、開催いたします。
 また、元号が変わる年に、日本新生児成育医学会・学術集会を開催することになりましたことを光栄に思っております。
 本学術集会のテーマは、

Intact Survival (障害なき生存)

 とさせていただきました。
 これまでの周産期医療とりわけ新生児医療の進歩により、それまで生存不可能だと考えられていた低出生体重児や病的新生児の生存が可能となってきています。
 その背景として、各地での周産期医療施設の整備(Regionalization:地域化)と周産期搬送体制の整備が挙げられます。また体温管理の進歩、低出生体重児における脳室内出血(IVH)、脳室周囲白質軟化症(PVL)の予防、呼吸窮迫症候群(RDS)に対する肺サーフアクタント補充療法、人工呼吸器管理の進歩(高頻度振動換気法(HFO)、患者同調型人工換気(PTV)、Nasal CPAP,etc)、各種生体モニターの進歩(tcPo2,tcPCO2,SpO2、EtCO2,etc)、膜型人工肺を用いた呼吸循環補助(ECMO)の進化、一酸化窒素(NO)による新生児肺高血圧症(PPHN)の治療、低酸素性虚血性脳症(HIE)に対する低体温療法、敗血症に対する血液浄化療法の進歩などの管理法や治療法の進歩が挙げられます。
 しかしながら、この様な治療法や予防の進歩によりに新生児の救命率は上昇してきましたが、運悪く慢性肺疾患や中枢神経障害や染色体異常などの原因で、NICUから退院できない長期入院児の存在もクローズアップされてきています
 そこで、今回は、更なるIntact Survivalを目指して、これらの治療のこれまでの進歩とこれからの進展および産科医療との連携について、米国との比較も加えて、考えてみたいと思っています。
 また、第29回日本新生児看護学会学術集会も同一会場で開催されますので、合同シンポジウムとして、両親の心のケア、リハビリテーション、在宅医療、医療器械の進歩と管理についても、コメディカルの方々と共に一緒に考えてみたいと思います。
 皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

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